向こう沿線両隣 フォトグラフィック 2010年09月02日 長屋の半家、俺を除けば他は家庭が連なっていた。両隣からは板ばりが薄いこともあってさまざまな声が聞こえていた。右からはいさかいの熱が伝わった。おまぇなにやったかわかっとるんか、罵詈雑言。重い音で空気が震える。ガラスやら金物やらの破砕音。やめてと女が泣いていた。左から伝わったニュースを淡々と並べる太い声、相槌だけで終わらせる電話とはいぢたい誰を相手にしているのだろうか。幾年か過ぎた。葬式が2度あった。静かになった。[2回]PR