数年前にフィルムで撮った写真をもとに色彩について考察して
仮想的フィルムの色彩をLighroomで行っていたのを思い出し、
自分でも忘れそうなのでその記録です。
デジタルで撮った写真を、フィルムのように変換するプラグインが
さまざまにありますが、どれもピンと来ないので(全体の色かぶり強い←NG)
自分で設定しました。(明暗差で違う色かぶり←OKとする)
元写真(PhotoshopのPhortomergeでパノラマ自動合成)
NIKON J3 NIKKOR VR 10-100mm f/4-5.6
突っ込みどころ満載です。作例なら普通に写真とれよっ・・・。
高低差の空間とそこに立っている主体を感じさせるために、
多視点の写真で切り分けてストックし事後的にPhotoshopで合成。
資料用なので、フレームは問題とならず度外視。
まずいきなりリバーサルフィルムのようにする前に下地となる処理
をします。
下地処理
Lightroomでコントラスト&露光を下げて、明暗別色補正で暗部~中暗部にかけて寒色をのせています。青色のことです。
考え方としては輝度(グレースケール?)を3通りに分けて、
明るい域~中間域~暗い域、それぞれに、異なる色かぶりを起こして
写真を立体的にみせる配色のハーモニーをつくること。
一発目は、「明暗別色補正」で暗い域が灰色の青色に変化させます。
そして、コントラストを下げて、明るさ、暗さの間の高低差を無理なく広げておきます。
コントラストというパラメーターを下げるだけではありません。
むしろ、コントラストというパラメーターは案外、役立ちません。
露出、シャドゥ、ハイライト、白レベル、黒レベル、トーンカーブ、
をつかって
まるでモノクロ写真としての疑似的なHDRを作るように、
ダイナミックレンジ的なものを広げていきます。
ちなみに最初に、写真の全体の色相の中で、
青色をシアン(水色)の方へ色相を変換すると
デジタル的なニコンとフジの絵作りに近くなります。
(青色を→水色に)
ここで、PSDで書き出します。
書き出したものをもういちどLightroomで読み込んで
ごちゃごちゃっとすると、
完成
仕上がりはこんな感じです。
「明暗別色補正」で明部域に灰色のピンク色に変化させました。
その他、トーンカーブ、露出、
E100Gリバーサルフィルムをイメージしました。
色味だけの再現を目指しているので、黒潰れや白とびには
破たんが無いように、似せ方はだいぶマイルドな加減にしてあります。
この流れ&完成品を、写真をやってる方から意見をうかがったことはないのですが、
一般の人からは、ちょっときれい、くらいに思ってもらえるのではないでしょうか。
細部
切り出し画像です。
左右の写真を比べると、どちらが立体的にみえるでしょうか。
右側の方が
ねこじゃらしが立体的にみえませんか?
露出的にはさほど違いは無いように見えます。
ちょっと右が暗いかな程度で、写真の黒レベルや白レベルといった
コントラスト自体が視覚的な原因ではありません。
右側の写真の細部をみると、暗域には灰青色(寒色)、明域には灰ピンク(暖色)
が乗っているのが味噌ですね。
両者のグレートーン(モノクロにしたとき)は似たり寄ったりの絵となりますが、
色彩の使い方次第で、立体物の印象を大きく変えてしまうようです。
フィルムは光をこのように感じてたのかもしれません。
以上、こういうことを写真の加工でやってしまうという発想でした。
モチーフはフィルムですが、元ネタは美術予備校の色彩を使ったデッサンで、
冷たい色は後退し、暖かい色は前進する、といった立体感覚の条件を使ったもの。
昔の500画素のデジカメでも可なので
カメラのセンサーサイズは豆粒でも1インチでも35mmでも
結果にはさほど影響してないのが利点ですね。
ここまでで深夜。こんな時間にブログ書いて
仕事をさぼったと疑われるかもしれないが、そんなことは決してない。
フィルムをからめて
写真においての新しい知覚(近眼的)と古い知覚(網膜的)の考察をして…、
写真におけるクオリア批判の不毛さ…フィルムの固有名を失わずに残していくことが重要…
とかをたらたら書いていたら、ずいぶん夜分おそくになってしまった・・・。
これも仕事の一部ってことで。
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